中空ポリカーボネートとは?
中空ポリカーボネートは、その名の通り中が空洞になっているポリカーボネート(PC)の一種で、高い耐衝撃性と断熱性、採光性もある軽量の素材です。耐候性にも優れており、室内、屋外、どちらの使用にも適しています。
中空ポリカーボネートの特徴
中空ポリカーボネートには、一般的に以下のような特徴があります。
中空ポリカーボネートの利点
中空ポリカーボネートが他の材料と比べて優れている点は以下のとおりです。
中空ポリカーボネート | ガラス | 鉄 |
---|---|---|
耐久性に優れ、長期間の使用に耐える | 衝撃に弱く、長期的な耐久性には劣る | サビや腐食に弱く、環境により耐久性は大きく影響を受ける |
断熱性が非常に高く、冷暖房費用等の削減に繋がる | 断熱性はガラスの種類によるが、高断熱な素材ほど厚く、高価になる | 熱伝導性が高く、断熱性には劣る |
光透過性が高いため、視認性もあり、自然光を有効利用できる | 光透過性は高い。ただし、厚みが増すほど落ちる | 光を通さないため、部屋全体が暗くなる可能性がある |
データセンターとは?
データセンターとは、サーバーやネットワーク機器が設置される、データの保管や通信の集中管理を行う施設を指します。
各企業のビジネス活動に正確な情報を提供し、ITインフラの運用をサポートする重要な存在です。また、企業や組織がビジネスに必要なデータを保存し、処理するための中枢となる施設でもあります。
オンラインサービス、クラウドストレージ、ビッグデータ処理など、現代のデジタル化されたビジネス環境において、データセンターは重要な役割を果たしています。その安全性や信頼性には高い品質が求められます。
データセンターの規模は大小ありますが、多数のサーバーやネットワーク機器、ストレージシステム、電源装置などの重要なコンピューター関連機器が集中しているため、特定のセキュリティ基準や冷却設備(空調システム)、電力供給システムが備えられています。
中空ポリカーボネートを使用したデータセンターのメリット
近年、データセンターの建設において、中空ポリカーボネートが注目を浴びています。
高い耐久性
中空ポリカーボネートは、一般的な樹脂に比べ30倍、ガラスに対しては250倍の耐衝撃性を持つとされています。
これはデータセンターにとって重要なアドバンテージとなります。
データセンターは通常、幾つかの重要な設備や機器を保管し運用するため、これらを保護する建築材料の強度は非常に重要です。もし何らかの原因で建物が損傷した場合でも、中空ポリカーボネートの高い耐久性は設備や機器を守る役割を果たします。
優れた断熱性
ポリカーボネートの熱伝導率は約0.2W/(m・K)で、ステンレスの16W/(m・K)、ガラスの1W/(m・K)に比べて熱が伝わりにくい素材です。
加えて中空ポリカーボネートの熱貫流率は4mm厚の場合約4W/㎡・Kです。一般的なガラスが6W/㎡・Kであることから、断熱性能は他のラック素材に比べて優れていると言えます。
データセンターはサーバーや電源設備など、沢山の設備が集中して置かれているため、常に多くの熱が発生します。したがって、施設の冷却(空調管理)は施設運営にはとても重要で、それにはまた大量の電力を必要とします。
この中空ポリカーボネートの断熱性は、内部の温度を一定に保つのに役立ち、冷却のためのエネルギーコストも大幅に削減できます。さらには運用コストの軽減と環境問題への配慮にも貢献します。
高い透明度
中空構造でありながら、ポリカーボネート自体の透明度が高いため、全光透過率は82%と高い水準を保っています。
多くのデータセンターでは、LEDインジケータなどを用いてマシンのステータスを表示していますが、それらを視認しやすくするための素材としても中空ポリカーボネートが有効です。中空ポリカーボネートで作られたクリアなパーテーションをサーバーラックに使用することで、ラック全体の動作状況を素早く確認できます。
軽量性
中空ポリカーボネートは高い耐久性と断熱性を持ちながら、その重量は同じ厚さのガラスの約1/15です。4mmの中空ポリカの場合、重さは約800g/㎡ですが、ガラスで同じ厚みだと約12kg/㎡となります。
このように、中空ポリカーボネートは強度もある軽量な素材で、また平板とは異なり、設営時の柔軟性も持ち合わせています。設営時のビス留め、ラックへの取り付け、フレームへの設置も軽量性を活かして比較的簡易に行うことができます。中空ポリカーボネートは、設営現場での負担軽減、輸送コストの軽減など、素材自体のコスト削減のみならず、建設プロジェクト全体でのコストカットに繋がります。
おわりに
データセンターの役割と中空ポリカーボネートの活用
データセンターの主な目的は大量のデータを安全に保存しつつ、必要なときに迅速に利用できることです。この点から見て、中空ポリカーボネートはその耐久性と断熱性により、データセンターの効率性と安定性を高めるのに適した素材であると言えます。